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コトコト、チマチマ・・佐賀県の小さな工房で作っております。 つくり手は一人ですので、たくさんは作れませんが、その分、お一人お一人のお客さまの大切な宝物や、よき相棒になるよう心を込めて作っていきたいと思います。 --------------------------------------------- 【朝顔の茶の湯】  桃山時代のこと、千利休の屋敷に咲く朝顔が非常に美しいという評判が、秀吉の耳に届きました。 「その朝顔を眺めながら飲む利休の茶はさぞうまかろう」 秀吉はそう考えて利休に茶会を申し入れ、利休はさっそく支度をはじめたのですが、秀吉が屋敷を訪れたのはそれから十日も後のことでした。 花の盛りは短いものです。 秀吉が屋敷を訪れる日の早朝、利休は悩んでいました。 満開を迎えていた十日前の朝顔とは似つかないほどに、庭の朝顔は盛りを過ぎていたのです。 秀吉をいかにもてなすか、利休は迫られていました。 ところどころに咲いている花びらを選別し、ひとつ、またひとつと、生気のない花びらを摘み取っていくにつれ、花はまた少なくなってしまうのでした。 いたたまれない気持ちになった利休は意を決して、そこに咲くすべての花を摘み取りました。 やがて、数人の付き人を連れて、秀吉が利休の屋敷を訪れました。 そして「どれ、まずは」と、足を運んだ庭先で、秀吉は言葉を失いました。 そこに朝顔の花は、一輪もついていなかったからです。 評判の朝顔を目的に茶会を申し入れた秀吉からすれば肩透かしを食らった具合になります。 それに、青々と茂った葉を見るからに、どうやら花は故意に摘まれているように見て取れるのでした。 「これはどういうことか!」 問いただそうと、秀吉は狭い戸口をくぐり、利休の待つ茶室に入りました。 土壁に覆われた4畳半の質素な空間です。 秀吉公を迎えたのは、鎮座して待つ利休と、一輪挿しの朝顔でした。 利休は、摘みとった花の中でも最も美しく咲いているものを一輪、床の花入に生けたのでした。 秀吉公は、狭い茶室に生けられたその朝顔の美しさに釘付けになりました。 「目の覚める美しさよ」 秀吉は、いぶかむ気持ちも忘れ去り、利休のもてなしを大いに褒めたと伝えられています。 (諸説あり)